同日スイスで開幕した「ジュネーブ国際自動車ショー」で発表した。丸本明社長は「ライフステージが変化していく若い人を中心になくてはならない存在と思ってもらえるように車両を開発した」と説明。「(小型SUVの)成長が最も著しい欧州から順次世界に投入する」と強調した。
これまでマツダのSUVは「CX」に数字の1桁を組み合わせた商品名だった。一番大きなSUVが「CX-9」で、最小は「CX-3」。CX-30は小型のCX-3を残しながら、ひとまわり大きくした。2桁の番号は初めてで、国内販売店の首脳も「小型SUVのラインアップ拡充は歓迎したい」と売れ筋の強化に期待感を見せる。
CX-30はCX-3と比べて全長が120ミリメートル長く、幅は30ミリメートル大きい。トランクの容量を約2割広い430リットルに拡大しており、アウトドアなどに多く使う若者の需要を取り込みたい狙いは鮮明。欧州では排気量2リットルのガソリンエンジン、1.8リットルのディーゼルエンジンに加え、電動化技術も組み合わせて燃費を最大で3割改善する新型エンジン「スカイアクティブX」もそろえる。
2018年の欧州(ロシア含む)ではSUVの販売が好調だった。CX-5は前年比17.9%増の約9万6千台、CX-3は同3.5%増の約5万7千台を販売しており、道が細い都市部でも運転しやすい小型のSUVは今後も安定的な需要が見込めると判断した。年内に国内で生産を始め、欧州以外の各地域でも順次発売を予定している。
マツダはこれまでひとつのプラットホーム(車台)をベースに小型から大型まで設計してきた。デザインから設計思想、内燃機関まですべての開発工程を見直した新商品群の投入は今年から本格化する。新商品群として、CX-30は18年に発表したセダン「マツダ3」に続く2車種目だ。
世代交代に合わせ、商品名も刷新している。これまでは「マツダ3」が海外名で日本名は「アクセラ」だったが、新商品群からは「アクセラ」の名前は消える公算が大きい。SUVも従来の数字1桁にこだわらない。
自動車産業は変革期にあり、先進国ではシェアリングなど自動車の「所有」から「使用」へのシフトが止まらない。新車の販売が右肩上がりで増え続けるとは考えにくく、新車販売はブランド力を高めて1台ごとに収益につなげる必要がある。
競争も激しい海外のSUV市場で、マツダにとっては虎の子ともいえる「CX」ブランドをどこまで高められるか。目の肥えた顧客が待ち受ける欧州をあえて、CX-30の初陣の地に選んだ。(湯沢維久)”
2019/3/5 21:15
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42062610V00C19A3X12000/