開発が長引いている国産初のジェット旅客機、MRJをめぐって、三菱重工業は子会社に2200億円規模の財務の改善策を実施し、債務超過を解消する方針を固めました。子会社の財務を改善させたうえで、機体の開発を急ぐことにしています。
国産初のジェット旅客機、MRJを開発している三菱重工業の子会社「三菱航空機」は、設計の相次ぐ見直しで計画が大幅に遅れ、ことし3月末の時点で、負債が資産を上回るおよそ1000億円の債務超過に陥っています。
このため、三菱重工は三菱航空機に対して2200億円規模の財務の改善策を実施し、債務超過を解消する方針を固めました。
このうち、1700億円は三菱航空機が株式を発行し、受け取った現金を債務の弁済に充てます。「デット・エクイティ・スワップ」と呼ばれる手法の一種で資本を増強します。
残りの500億円は三菱重工が持つ債権を放棄する形で行う方向で最終的な調整を進めています。
財務を改善させたうえで、三菱航空機は現在目指している2020年半ばの機体の初納入に向けて、開発を急ぐことにしています。
MRJなどの小型のジェット旅客機は、新興国や近距離の国内路線を中心に需要の拡大が期待される一方で、海外メーカーとの競争も激しさを増していて、三菱航空機にとってはさらなる資金の確保とともに、他社との提携なども視野に経営基盤を強化することが課題となります。
半世紀ぶりの国産旅客機 MRJとは
三菱航空機が開発中のMRJは、プロペラ機「YSー11」以来半世紀ぶりの国産旅客機として注目を集めています。
MRJは「リージョナルジェット」と呼ばれる座席数が70席から90席の小型旅客機で、燃費性能の高さからこれまでにアメリカや日本などの航空会社から400機余りを受注しています。
しかし、機体の不具合などから設計の変更を迫られ、納入の時期はこれまでに5回延期され、今の計画では当初より7年遅れて2020年半ばに初納入することにしています。
納入の延期で開発費は当初の1800億円から大幅に膨らみ、三菱航空機はことし3月末時点でおよそ1000億円の債務超過に陥っていました。
このため、債務超過を解消したうえで、開発を加速させようと親会社の三菱重工業が支援に乗り出す方針を固めました。
三菱航空機は機体の安全性などの基準を満たしていることを担保する型式証明の来年の取得を目指して、開発と飛行試験を加速させます。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20181023/k10011681961000.html
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